イーサリアム上海アップグレードの最新進捗状況

本記事では、Kilnテストネットワークの運用状況、「上海」アップグレードの最新計画、Ethereum実行層の実行可能仕様作業、プロトコルユニオンの関連情報、およびいくつかの詳細なアップデートなど、1月から現在までにEthereumで発生した重要なイベントを紹介します。 Ethereum の最新の開発状況を注意深く追跡しているユーザーは、これを注意深く読むことができます。

要約

1月から今までの間にたくさんのことが起こりました。私はそれらすべてについて書く時間を見つけようとしてきました。この記事の主なハイライトは次のとおりです。

• 最新の統合テストネット Klin がリリースされました。その上の Pos 遷移によっていくつかの実装上の問題が明らかになりましたが、マージされたテストはすべて設定されました。

• 「上海」と呼ばれる次のイーサリアムアップグレードが計画されています。 EVM のアップグレード、ビーコン チェーンの引き出し、レイヤー 2 料金の引き下げ、その他のプランが含まれます。

• Ethereum 実行層の実行可能仕様に関する作業は順調に進んでいます。次のステップは、EL + CL（実行レイヤー + コンセンサスレイヤー）のアップグレードプロセスを調整することです。

• プロトコル ギルドには現在 100 名を超えるメンバーがおり、クライアント開発メンバーと研究メンバーにトークン報酬を提供する取り組みであるパイロットを開始しようとしています。

窯

Kintsugiに続いて、Klin テストネットも最近開始されました。これには、Kintsugi で発見されたエッジ ケースに基づく Merge 仕様の変更と、いくつかの名前変更が組み込まれています。 Merge 仕様は現在ほぼ最終形になっているように見えますが、Klin 上で実行するための移行期間中にいくつかのクライアントで実装上の問題が発生しました。関係チームは、すべての実装計画が安全かつ安定していることを確認するためにテストを強化しています。 Danny は最近の Finalized の投稿でこれについて説明しています。

これに加えて、私たちはより多くの開発者コミュニティに Klin を使用してもらい、製品が期待どおりに動作することを確認するよう求めています。 Klin を試用していただいた Kurtosis、Tenderly、 Lido 、 Uniswap 、EthStaker、Infura、Blockdaemon に感謝します。

重大な問題が発見されなければ、Klin はリリースされる最後のパブリック テストネットになると予想されます。クライアントの実装とインフラストラクチャ/ツールの準備が整ったら、次のステップは既存のテストネット (Ropsten、Goerli、Sepolia など) で The Merge を実行することです。

あらゆるアップグレードと同様に、テストネットのアップグレード後も継続的にテストを実施し、テストネットの安定した運用を確保します。テストネットが期待通りに機能していることが確認できたら、Ethereum メインネットへの移行を手配します。

コミュニティ全体にとってこのエキサイティングな瞬間が近づいていますが、安全な移行は The Merge の最優先事項であり、目標日に実行することよりも重要です。これはイーサリアム史上最も複雑なアップグレードです。無事に完了することを願っています。

テストネットとメインネットのアップデートの具体的なタイムラインが決定され次第、Week in Ethereum、What's New in Eth2、EF ブログなどのコミュニティ出版物を通じて公開されます。現在宣伝されている目標日付は、具体的な日付が設定されていないため、誤りです。今後数か月間は、詐欺や虚偽の告知の可能性に特に注意してください。

難易度爆弾に関する注意

昨年の Arrow Glacier アップグレードで延期された難易度爆弾は、6 月頃にブロック速度に影響を与えると予想されています (最新の進捗状況を確認するにはここをクリックしてください)。遅延された難易度爆弾のアップグレードの前に POS に移行するのが理想的ですが、次の 3 つの点に注意してください。

• 難易度爆弾がブロック時間に与える影響は徐々に大きくなります。つまり、ユーザーがネットワークへの爆弾の影響を感じると、ブロック速度は4〜8週間以内に低下し続けます。ただし、それほど遅くなることはありません（おそらく約14〜17秒）。

• これまで、爆弾が遅れたときは、通常、それまでに別のネットワーク アップグレードを行う予定であるため、少なくとも 6 か月間延期することを選択してきました。つまり、爆弾をどれだけ遅らせることができるかについての厳密な規則はなく、爆弾を6か月以上遅らせるよりも1か月か2か月遅らせる方が適切である限り、爆弾を遅らせることは完全に可能です。

• もう一度言いますが、素早く合流することよりも安全に合流することの方が重要です。私たちは移行がスムーズに進むことを望んでおり、Ethereum の安定性とセキュリティが私たちの最大の関心事です。

上海アップグレード

前回の更新で述べたように、The Merge の仕様はほぼ確定しており、上海のアップグレードに関する計画作業はすでに開始されています。このアップグレードの仕様の詳細については、ここをクリックしてください。暫定的に、このアップグレードでは 3 つの大きな変更と、詳細のいくつかの改良が計画されています。このアップデートの詳細については、以下をお読みください。

EVM (Ethereum 仮想マシン) オブジェクト形式

長年にわたり、研究者とクライアント開発者は、現在の契約を破ることなく EVM を改善するために懸命に取り組んできました。昨年、Ipsilon チームは非常に巧妙なアイデアを思いつきました。特定の識別子を使用してデプロイされたコントラクトに新しい機能を提供しながら、既存のコントラクトはそのまま実行し続けるというものです。これは現在、EVM オブジェクト フォーマット、または略して EOF と呼ばれています。

「ロンドン」アップグレードでは、0xEF バイトで始まる新しいコントラクトのデプロイメントを無効にすることで、この識別子の一部を保持しました。ロンドンのアップグレードが稼働する前に、0xEF で始まる少数の契約がデプロイされていましたが、これはもう不可能です。 0xEF プレフィックスに 2 番目のバイト (「マジック」バイトと呼びます) を追加して、どのコントラクトでも使用されないシーケンスを取得できます。

EIP-3540 ではこの点について詳しく説明し、このアプローチの最初の具体的な利点である、コードとデータの分離によりチェーン上でのコード検証が容易になることを強調しています。これにより、抽象アカウント、EVM の制御フロー、EIP-3074 などの現在の複雑な機能を有効にするのに役立つ新しいタイプの契約コード セクションを導入するための基盤も構築されます。

EIP-3540 のサポート プロトコルとして、EIP-3670 は EOF 契約が展開されたときにコード検証を有効にします。

ビーコンチェーンの引き出し

「上海」アップグレードのもう一つの大きな特徴は、ビーコンチェーンの引き出しの有効化です。多くの提案を経て、私たちが設計した EIP-4895 プロトコルは、クライアント チームを満足させることができました。ビーコン チェーンはプッシュ操作として取り消すことができます。

メタ仕様では、プロセス全体がどのように機能するかが概説されています。大まかに言えば、各スロットで、ビーコン チェーンは一定数の全額または一部の引き出しを処理できます。各引き出しは、引き出し金額、宛先アドレス、および一意のインデックスを含む領収書によって追跡されます。これらの引き出しは、ブロック作成および検証プロセスの一部として実行レイヤーにクレジットされます。これは、今日のプルーフ・オブ・ワークの発行がマイナーにクレジットされる方法に似ています。コンセンサス レイヤーに必要なさまざまな変更に関する問題の追跡については、コンセンサス仕様リポジトリを参照してください。部分的な引き出しオプションにより、バリデーターは蓄積した報酬を引き出すことができますが、検証を維持し、報酬を獲得し続けるためには、32 ETHのステーク量を確保する必要があります。

2次手数料の削減

上海のアップグレードで完了させたかった最後の主要なアップデートは、レイヤー 2 料金の削減でした。なぜなら、第 2 レイヤーが第 1 レイヤーに公開したトランザクション データまたは証明から判断すると、エンド ユーザーのトランザクション手数料の大部分は、第 1 レイヤーのデータ ストレージの償却ガス コストから発生するからです。シャーディングは、第 2 層でデータを公開するためのより安価なオプションを提供しますが、仕様は最終決定されているようですが、完全なシャーディング実装はまだ準備ができていません。

その間、これらのコストを削減するには、メインネット上の CALLDATA のコストを下げるか、おそらく Ethereum にシャード ブロブ トランザクションと呼ばれる新しいトランザクション タイプを導入して「生のシャーディング」を実装するかの 2 つのオプションがあります。

CALLDATAでコストを削減

第 2 レイヤーの取引手数料を削減する最も簡単な方法は、第 1 レイヤーのストレージ コストを削減することです。 EIP-4488 ではこれを実現し、CALLDATA のコストを 1 バイトあたり 16 ガスから 1 バイトあたり 3 ガスに削減することを提案しています。第1層でのストレージコストの削減は、第2層でのコストの削減につながります[1]。

ガスコストの削減は単純な変更ですが、いくつかの二次的な効果があります。まず、ブロックに CALLDATA を追加すると、ブロックが大きくなります。これをバランスさせるために、EIP では各ブロック内の CALLDATA の数を制限することを提案しています。第二に、上限が設定されている場合でも、この EIP により、実行レイヤーでのオンチェーン履歴データの増加率が高まります。上記の問題を解決するために、EIP-4444 では、帯域外履歴データ取得を開発し、Ethereum ピアツーピア ネットワーク上の履歴データの保証に変更を加える必要があると提案しています。

過去のオンチェーンデータは徐々に増加していますが、この EIP を実行するということは、オンラインになった後、この問題にさらに緊急に対処する必要があることを意味します。これとは別に、この EIP の小さな部分は、完全なシャーディング実装で再利用されます。これは主に一時的な解決策です。とはいえ、EIP-4488 は比較的単純なアップデートですが、レイヤー 2 料金の削減に大きな効果があります。

シャードブロブトランザクション

別の提案であるEIP-4844[2]では、シャードBLOBトランザクションが導入され、完全なシャーディング展開ソリューションに近づきました。ビーコン チェーンの引き出しと同様に、提案にはコンセンサス レイヤー仕様やその他のリソースへのリンクを含むメタ仕様があります。

より深いレベルでは、この新しいトランザクション タイプには、ビーコン チェーン上で伝播されるデータ ブロックへのコミットメントが含まれます。この提案は「ミニシャーディング」と考えることができます。これは、データ可用性のサンプリングに依存するのではなく、ネットワーク内のすべてのノードが BLOB 内のすべてのデータを検証する必要があることを意味します。完全なシャーディングのシナリオと同様に、これらのボールブ内のデータは、永続的に保存されるのではなく、一定期間のみネットワーク上で利用可能であることが保証されます。ノード要件を管理可能な状態に保つために、BLOB データは 1 MB/スロットに制限され、フルシャードは 16 MB/スロットに制限されます。

EIP-4844 は完全なシャーディングの基盤を築きます。今後のすべての変更はコンセンサス レイヤーに限定されることに注意することが重要です。実行レイヤーの観点から見ると、シャードは稼働していることになります。

EIP に取り組んできたOptimismチームは、EIP の概要を示し、さまざまな仕様のリンクを集約し、作業に積極的に貢献したコミュニティを紹介する Web サイトを立ち上げました。

注記：

[1]レイヤー2のトランザクション価格設定には他のコンポーネントも関係するため、コスト削減は5倍にはなりません。 Optimism では、レイヤー 2 の料金構成要素についてここでわかりやすく説明しています。

[2] EIP-4488とEIP4844は競合する提案の中で非常に似た数字を持っており、イライラさせられます。

詳細 改善点

上記の 3 つの主要な改善点に加えて、「上海」アップグレードでは、次のようないくつかの小さな改善点も考慮されました。

• Coinbaseアドレスへのアクセスのガスコストを削減する EIP-3651 は、EIP-2929 の脆弱性を修正します。

• EIP-3860 は、inicode のサイズを制限し、フィールドのガス料金測定を導入します。

• EIP-3855 では、新しいオペコード PUSH0 が追加されました。これは、予想どおり、EVM スタックに「0」をプッシュします。

さらに、このアップグレードには他の EIP 提案もいくつかあります。 EOF、ビーコン チェーンの引き出し、レイヤー 2 料金の削減により、上海はすでにこれまでで最大のアップデートの 1 つとなっているため、何を含めるかを優先順位付けするために、今後は多大な努力を払う必要があります。

さまざまな EIP の実装とテストを開始すると、追加の容量があるかどうかがより明確になります。もちろん、その前にマージを完了する必要があります。

イーサリアム実行層仕様 (EELS)

上記をお読みいただければお気づきかもしれませんが、上海アップグレードに関するいくつかの提案は、実行層とコンセンサス層の両方にまたがっています。過去の経験に基づいて、各レイヤーで変更を導入するために異なるプロセスを使用します。

実行レベルでは、コア EIP に改良された仕様が含まれています。 Ethereum イエロー ペーパーはネットワークのリファレンス仕様ですが、通常はアップグレードが稼働した後に更新され、場合によっては顕著な遅延が発生します。つまり、実行層の場合、イエロー ペーパーと対応する EIP プロトコルが実行層の有効な仕様となります。

コンセンサス レイヤーでは、実行可能な仕様が参照として使用され、その中で変更が直接指定され、変更に対するテストを生成するために使用できます。

したがって、コミュニティは実行層のプロセスを十分に理解していますが (また、簡単に参照できるデータの説明も提供しています)、技術的な観点から見ると、まだ理想的ではありません。対照的に、コンセンサス レイヤー プロセスは技術的には環境に優しいものの、大規模なコミュニティが従うのは困難です。幸いなことに、EELS (Ethereum 実行レイヤーの実行可能仕様) の作業はすでに開始されています。

実行レイヤーとコンセンサスレイヤーの両方に実行可能な仕様があることで、両方のレイヤーで変更を加えるプロセスを調整できます。解決すべき問題はまだ多く残っていますが、移行を完了するための最善の方法について議論を始めました。 Ethereum Magicians スレッドは現在このトピック専用です。 EELS はまだ開発中ですが、上海のアップグレード中に現在のプロセスと並行して使用できる可能性があります。

実行レイヤーとコンセンサス レイヤーをマージするプロセスは、実際の実行レイヤーとコンセンサス レイヤーをマージするプロセスよりも簡単であると期待しています。

合意連合

最後に、非常に重要な Protocol Guild についてお話ししたいと思います。Protocol Guild には現在、完全な説明 Web サイトがあります。プロトコル管理者への報酬は最近話題になっており、プロトコルギルドはこの問題の解決に携わりたいと考えています。開示声明: 私は Protocol Union の会員であり、同団体から資金援助を受けています。

報酬は、基本給、それに見合ったインセンティブ、潜在的な利益の 3 つの領域に分類できます。現在、クライアントの開発者と研究者の基本給は、それぞれの雇用主によって支払われています。その一部は株式インセンティブの形をとるかもしれませんが、イーサリアム財団は昨年、39,000 ETH のクライアント インセンティブ プログラムを発表し、すべてのクライアント チームがイーサリアムに大きな株式を保有することを保証しました。

プロトコル ユニオンは、イーサリアム自体ではなく、さまざまなイーサリアム ベースのプロジェクトのトークンをメンバーに提供することを目的としている点で、基本的な報酬およびインセンティブ プログラムとは異なります。プロトコル ギルドは、プロトコル エンジニア、研究者、そして私のようにプロトコルの調整に携わる少数の人々で構成されています。現在会員数は約100名です。

つまり、組合はスポンサーにトークンを寄付することを許可し、それが時間の経過とともに受取人に譲渡されるのです。受信者のリストは更新できるため、定期的に新しい投稿者を追加したり、以前の投稿者を削除したりすることができます。

プロトコルユニオンはまだ初期の実験段階ですが、成功すれば、GitcoinやRetroactive Public Goods Fundingなどの草の根に重点を置いた取り組みを補完する可能性があります。

Gitcoin の助成金の確保に成功した後、Protocol Union の次のステップは、スマート コントラクトアーキテクチャをテストすることです。同時に、初期寄付者へのアウトリーチ活動も開始されます。計画では、技術コンポーネントとガバナンス コンポーネントの両方がスムーズに実行されるように、約 1 年間で限定的な寄付ベースでプロトコル ユニオンを運営する予定です。このパイロットによって、Ethereum 上で公共財への資金提供を調整するための新しいメカニズムを作成できることが実証されることを期待しています。

次のステップ

当社の主な優先事項は、合併とテストへの新たな重点です。今後 1 か月間で、実装を完了し、いくつかの短期開発ネットワークを実行し、アプリケーション、インフラストラクチャ、およびツール プロバイダーからのフィードバックを収集したいと考えています。その他すべて（「上海」のアップグレード、施行規則、契約組合）も継続されます。

1、2 か月以内に他のアップデートが提供される予定です。その間、Devconnect で直接このことについて話し合うことができますので、アムステルダムでお会いできることを願っています ??!

翻訳者メモ:

Ethereum Klin テスト ネットワークは、運用中にいくつかの問題が発生しました。関係チームが現在解決に取り組んでいます。チームがすべての準備が整ったと感じたら、既存のテスト ネットワークに統合されます。プロジェクト側はイーサリアム合併の安全性を非常に重視しているため、具体的な合併時期は決定できません。ディフィカルティボムは適切なタイミングで実行され、これらすべては安全な合併プロセスを前提としています。 「上海」アップグレードには、主にEVM（イーサリアム仮想マシン）オブジェクトフォーマット、ビーコンチェーンの引き出し、第2層手数料の削減が含まれます。このアップデートの主な目的は、ユーザーエクスペリエンスの向上、スマートコントラクトの機能強化、ユーザーがビーコンチェーンから資金の一部または全部を引き出せるようにすること、および第2層の取引手数料を削減する2つの方法を提案することです。プロトコル連合はパイロットプログラムを開始しており、すべて順調に進んでいます。その主な目的は、プロトコルの保守者に報酬を提供することです。

原作者: AllCoreDevs Updates

原文翻訳: H. Forest Ventures、0x123

元のタイトル: AllCoreDevs Update 010