ベルリンのアップグレードにおいて、EIP-2929 によるガスコストの上昇の意味は何ですか?

著者: ヴィタリック・ブテリン
翻訳: ETH中国語ウェブサイト

まとめ

• はい、一部のオペコード呼び出しではより多くのガス オーバーヘッドが必要になりますが、これは安全性を向上させるために行う必要があります。

• しかし一方で、最初からずっと安くするべきだった操作（ストアの後に同じスロットのロードを実行する）は、結局安くなってしまいます。

• もう 1 つの重要な利点は、ガス制限を適度に増やすことがより安全になったことです。現在ガス制限を引き上げている主な理由は、州の規模に関する問題です。

ベルリン ハードフォークでガス コストの変更を引き起こした EIP は、EIP 2565 (ModExp モジュラー指数演算のガス コストの削減)、EIP 2929 (SLOAD および CALL のガス コストの増加)、および EIP 2718 と 2930 です。これらは、ガス コストの増加の影響を受ける契約の互換性をサポートし、将来のアップグレードへの道を開きます。

現在、これらの EIP の中で最も重要なのは EIP-2929 です。その中心となる内容は、SLOAD のガス コストが 800 から 2100 に増加し、CALL (STATICCALL、DELEGATECALL、その他のオペコードを含む) および外部コントラクト クエリ (BALANCE、EXTCODESIZE など) のガス コストが 700 から 2600 に増加することですが、これはトランザクションでアドレスとストレージ スロットが初めてアクセスされるときにのみ発生します。

この目的は、DoS 攻撃への耐性をさらに向上させることです。初期の調査によると、Ethereum プロトコルにおける最大の DoS 脆弱性はストレージ アクセスにあり、いくつかのブロックを作成して多数のアカウントに簡単に繰り返しアクセスすることができ、処理時間は最大 80 秒に及ぶ可能性があります。解決策は簡単な応急処置です。これらの操作を長くして（ストレージ アクセスにはディスク アクセスが必要）、より多くのガスを消費するようにすると、最終的に DoS の問題は約 3 倍弱まります。その間、クライアント チームは、ディスク ストレージ キャッシュの実装、ストレージ ロードに必要なデータベース クエリの数の削減、そしてより一般的にはホールの塞ぎといった素晴らしい作業を行ってきました。

ガスコストの再価格設定とこれらのクライアントの改善を組み合わせることで、既存のブロックチェーンのセキュリティが強化され、ガス制限の提供も現在よりも安全になります。 EIP-2929 以降、ガス制限の大幅な増加を回避する主な理由は、実際には DoS 攻撃の問題ではなく、状態サイズの増加です (これら 2 つの側面は相互に影響し合います。ストレージ負荷が大きくなると、ストレージ負荷によって消費されるガスが増加します)。したがって、状態の有効期限と無状態は非常に重要になり、「マージ」後の最優先事項であるとも言えます。

この価格改定の 2 つ目の大きな長期的なメリットは、ステートレス検証の証人サイズを理論的には最大 3 倍削減できることです。コードの読み取りには再価格設定も必要です (アクセスしたコード 31 バイトあたり 500 GAS など) が、これは将来実装される可能性があります。

注意: この EIP は、各トランザクションの最初のアクセスのガス コストのみを増加させます。後のアクセスは実際には安くなります (いずれにしても 100 GAS)。さらに、プリコンパイルの呼び出しでは、最初の呼び出しを含め、常に 100 ガスしか消費されません。これには次のようなプラスの効果があります。

• 同じスロットでは、SLOAD の後に SSTORE が続く場合 (または SSTORE の後に SLOAD が続く場合) は、コストが安くなります。これは、最初のストレージの読み取りまたは書き込みと、ストレージ スロットにアクセスするためのガス料金がすでに支払われているため、ストレージ スロットが「ウォームアップ」され、最初の読み取りと書き込みが安くなるためです。したがって、支払う必要のあるガスは 800 + 5000 ではなく、2100 + 2900 (おおよそ) となり、約 800 ガスの削減となります。これにより、ERC20 プロトコル標準を使用してトークンを転送するコストが削減される可能性があります。

• セルフコールが安くなる

• プリコンパイルの呼び出しが安価になります (これは、ECADD のように何度も呼び出す必要がある低ガス プリコンパイルの場合に特に役立ちます)

最初のアクセス ルールが追加されるのは、アカウントまたはストレージ スロットに 2 回目にアクセスするときには、アカウントまたはストレージ スロットがすでにコンテンツにキャッシュされているため、コストのかかるディスク アクセスが必要ないためです。もちろん、同じ値への 2 回のアクセスには、1 つの監視エントリのみが必要です。