ビットコインの半減期は明日起こるが、最大の勝者はBTCではない

出典: ブロックチェーンフロンティア

ティモシー・ロイド

翻訳者：王強

ステーブルコインのブームにより、今年の市場価値は合計95億ドルを超えており、これはビットコインの半減期を前に強気相場の兆しとなる可能性がある。

北京時間5月12日午前3時頃、ビットコインはブロック高63万に達し、ブロック報酬は12.5 BTCから6.25 BTCに減少します。ビットコイン史上 3 回目のブロック報酬の半減期が近づいています (最初の 2 回の半減期は 2012 年 11 月 28 日と 2016 年 7 月 10 日に発生しました)。 BTC.com のデータによると、現在の BTC ブロックの高さは 629939 で、生産削減ブロックの高さ 630000 まで 61 ブロック離れています。

ビットコインの半減期の到来により、ビットコインの価格も大きく変動しましたが、ステーブルコインの市場価値は上昇するばかりでした。 DAppTotalのデータによると、ステーブルコインの時価総額は先月95億ドルを超え、その中で最も古く、最大かつ最も広く採用されているステーブルコインであるテザー（USDT）は4月だけで10億ドル以上の価値を獲得した。

英国ウォーリック大学ビジネススクールのガネーシュ・ナトラジ助教授は、ビットコインの半減期への期待がステーブルコインの発行を促進する可能性があるとデクリプトに語った。

ナトラジ氏は最近、カリフォルニア大学バークレー校のリチャード・ライオンズ教授と共同で、ステーブルコインがマクロ暗号通貨市場に与える影響を調査した論文を執筆した。同氏は、USDTの発行は「今年後半のビットコイン価格への期待によって推進される可能性があり、半減期が近づくにつれて、投資家はUSDTを蓄える可能性がある」と述べた。

仮想通貨取引分析会社メッサリは、トレーダーがビットコインを購入するために取引所にステーブルコインを追加しているため、今年取引所に預けられたステーブルコインの額は30億ドルに達し、ステーブルコインの準備金の歴史的記録を樹立したと考えている。

もちろん、一部のトレーダーは、半減期後にビットコインの価格が上昇すると予想しています。ブロックチェーン投資会社パンテラ・キャピタルのCEO、ダン・モアヘッド氏は4月の投資家向け書簡で「新規ビットコインの供給数が半分に削減されれば、他の条件が同じであればビットコインの価格は上昇するだろう」と書いた。モアヘッド氏は、一方では連邦準備制度理事会がコロナウイルスによる金融危機を抑えるために「無制限の」量的緩和を採用し、他方では紙幣が病気の拡散の媒体となっていると指摘した。この文脈では、「ビットコインが上昇する確率は50％以上であり、急速に上昇している」。

ブロックチェーン金融コンプライアンス企業Chainalysisは、2020年に新たに発行された約27億ドルのテザー・ステーブルコインに加え、オンチェーンまたは暗号通貨ウォレット間の移動を問わず、USDTの取引量が3月までの12か月間で250%増加したことを発見した。

この成長の大部分は、イーサリアム（ETH）ブロックチェーン上で決済された取引によるもので、3月の全USDT決済の90％を占めた。実際、メッサーリによれば、ETHの価値転送量は4月に初めてBTCのレベルに達したという。

BTC の需要の増加は、資本市場全体における ETH、世界的な外国為替、および米ドルの需要の増加を反映しています。

BTCの価格が過去1か月で20%以上急騰したにもかかわらず、ガネーシュ氏とライオンズ氏は、ステーブルコインの発行が暗号通貨の価格に影響を与えるという体系的な証拠は見つからなかった。彼らの研究は、テザーの発行がビットコインの価格を操作する役割を果たしたという、広く引用されている2018年のテキサス大学の研究で得られた結論と矛盾している。

彼らはその逆が真実だと信じています。ガネーシュ氏とライオンズ氏は、ステーブルコインの発行は「固定為替レートからの流通市場の為替レートの逸脱に内生的に反応する」と書いている。つまり、ステーブルコインの発行は暗号通貨市場の変化への対応であり、ステーブルコインは暗号通貨経済における安全避難所としての役割を果たします。

北京を拠点とするブロックチェーン投資会社シノ・グローバル・キャピタルのCEO、マシュー・グラハム氏も同意した。 「全体的に、ステーブルコインの指標に基づいてビットコインの価格を予測するのは簡単ではないと思う。相関関係はあるが、これらの影響は、半減期に対する投資家の感情や新しいビットコインの実際の供給量など、他の要因によって圧倒される」と彼は述べた。

しかし、大まかに言えば、グラハム氏は半減期後のビットコインの価格については控えめに強気だが、この強気さはステーブルコインの使用（および安全資産としての人気）の過度の増加と直接相関しているわけではないと述べた。

ステーブルコインの安全避難先としての中心にあるのはドル化です。

過去 1 世紀にわたり、米ドルは世界の準備通貨であり、さまざまな合法的な金融商品の中で最も安全で、最も交換しやすい選択肢でした。 COVID-19パンデミックによって引き起こされた進行中の経済混乱により、世界は米ドルに避難を求めています。暗号通貨市場も例外ではなく、人々はステーブルコインへと逃げています。

テザーはステーブルコイン市場の活動の大部分を占めていますが、取引所が支援するUSDコイン（USDC）、バイナンスUSD（BUSD）、HuobiのHUSDトークンなどの競合もトレーダーの間で人気を集めています。

Tether とその新興ライバルの共通点は、暗号通貨取引所との統合です。 「流動性ハブへの近さは重要だ」とメサーリ氏は書いている。もう一つの共通点は、最も強力な3つのステーブルコインがすべてアジア市場と密接に結びついていることです。

テザーの親会社であるiFinexは香港に拠点を置いているが、バイナンスは中国生まれのCEOが率いており、BTCの流入の大半を中国で設立されたシンガポール拠点の取引所Huobiから得ている。取引所間の2番目に大きいBTCフローは、単にリーダーからの逆フローであり、暗号通貨追跡サービスToken Analystの2019年のデータによると、約12億ドルがBinanceからHuobiに流れています。

シンガポールに拠点を置く店頭取引会社QCPキャピタルのマネージングパートナー、ダリウス・シット氏は、この逆の流れとともにステーブルコインの流入もアジア市場に戻りつつあると述べた。

シット氏はデクリプトに対し、自社ではアジア貿易における金融取引でステーブルコインが使われるケースが増えていると語った。 「ステーブルコインの1日あたりの平均取引量は1000万～2000万ドルだ」とシット氏は語った。 「当社のスポット取引事業の90％はステーブルコインです。 」

同氏はさらに、例えばマレーシアやインドネシアの企業は中国のサプライヤーへの支払いにステーブルコインを使用し、ETHウォレットを通じて資金を送金していると付け加えた。

Chainalysis のデータもこれを裏付けています。同社はデクリプトに対し、過去1か月間、テザーの需要のほとんどは中国を拠点とする機関投資家や店頭取引によるものだと語った。

UDST/ETH 送金の 75% は 2,000 ドル未満の金額でしたが、100,000 ドルを超える大規模な取引が市場全体の取引量の 65% を占めました。 「これは、テザーの需要の大部分が、国民が仮想通貨市場に参入することを許可する規制がない中国を拠点とする専門家から来ている可能性があることを示唆している」とチェイナリシスの広報担当者マディー・ケネディ氏は述べた。

中国のブロックチェーンセキュリティ企業Peck Shield Incの共同創設者Jeff Liu氏も同意した。 「ステーブルコインのユーザーのほとんどは中国とアジアにおり、ここ数カ月でその利用が加速している」と彼は語った。

シット氏は、この変化は「通貨の流動性」によって引き起こされていると考えている。アジア太平洋地域で事業を展開する企業は、COVID-19パンデミックの影響で銀行業務の凍結を経験している。シット氏は、アジア全域でより即時かつ安価でスムーズな企業間決済を可能にするステーブルコインに目を向けたと述べた。

「ステーブルコインは依然として主に仮想通貨取引と資本逃避の促進に使われている」と劉氏は語った。 2019年のペック・シールドの報告書によると、昨年、仮想通貨は中国から約114億ドルの資本逃避を促進し、そのほとんどはビットコインとテザー建てだった。同氏は、資金の大半は米国、日本、シンガポールなど資本規制が緩い国に流れたと付け加えた。

アジアではステーブルコインの採用が増加しているにもかかわらず、ビットコインの半減期は「それほど大きな影響はないかもしれない」とシット氏は考えている。ブロック報酬がさらに減少するにつれて、リソースの少ないマイナーが産業規模のマイナーと競争することがより困難になります。

Sit氏は、その結果は次のようなものになると予測している。新しい暗号通貨経済システムの下でコストが高すぎるマイナーは、マイニングマシンをシャットダウンして資産を清算し、ビットコインの価格に下押し圧力をかける可能性がある。同氏はまた、「より多くのリソースを持つマイナーは、小規模なプレイヤーの消滅を加速させ、より多くのネットワークシェアを獲得するために、価格をさらに引き下げるために共謀する可能性がある」と指摘した。

いずれにせよ、アジアにおけるステーブルコインの採用拡大と、今週開始される中国人民銀行のデジタル人民元の初の大規模試験運用は、暗号通貨市場において「世界は中国より一歩遅れている」ことを示唆しているとシット氏は結論付けた。

この記事はもともと Decrypt ブログで公開され、元の著者の許可を得て InfoQ Chinese によって翻訳され、共有されました。

オリジナルリンク:

https://decrypt.co/27536/10-billion-stablecoin-boom-as-bitcoin-halving-nears