Ethereum EIP-1559 ガス料金計算方法の詳しい説明

元のタイトル: Ethereum EIP-1559 ガス料金計算ガイド: ガス変更時のスムーズなトランザクションの確保
Blocknative による執筆
翻訳: ヤンズ

イーサリアムが EIP-1559 でコアガス料金市場をアップグレードしたとき、取引はファーストプライスオークションから基本料金とチップを含むハイブリッドシステムに移行しました。以前にも紹介したように、これによりオンチェーントランザクションに新たなレベルの複雑さが生じます。

これをさらに明確にするために、新しい用語と、EIP-1559 取引手数料に関連するコア変数の処理方法について説明します。

EIP-1559 取引の新しい用語

まず、復習です。EIP-1559 は、Ethereum の取引手数料の計算方法とその手数料の行き先を変更します。単一のガス価格の代わりに、注意を払う必要がある 3 つの個別の値が存在します。

基本料金はネットワーク自体によって決定され、その後破棄されます。
最大優先手数料はオプションであり、ユーザーによって決定され、マイナーに直接支払われます。
ガスあたりの最大手数料。これは、トランザクションをブロックに含めるためにガスの単位ごとに支払う絶対最大額です。簡潔にするために、これを最大料金と呼ぶことにします。

これらの新しいフィールドを含むトランザクションはタイプ 2 と呼ばれますが、元のガス価格フィールドを含む従来のトランザクションは引き続きサポートされており、タイプ 0 と呼ばれます。注: EIP-1559 では、「ガス制限」(トランザクションが消費することが許可されているガスの最大量) に変更はありません。

基本コストの決定

基本手数料は Ethereum ネットワークによって決定され、トランザクションを求めるエンドユーザーやトランザクションを検証しようとするマイナーによって設定されるものではありません。基本手数料は、ブロックの完全性を 50% に保つことを目標としており、最近確認されたブロックの内容に基づいています。新しいブロックの完成度に応じて、基本手数料は自動的に増減します。

例えば：

前のブロックがちょうど 50% 完了していた場合、基本料金は同じままになります。
前のブロックがフルブロック（100%）だった場合、次のブロックの基本料金は最大 12.5% 増加します。
前のブロックが 50% 以上完了しているが 100% 未満の場合、基本料金は 12.5% 未満増加します。
前のブロックが空白ブロック（0％）だった場合、次のブロックの基本手数料は最大12.5％削減されます。
前のブロックの完了率が 0% を超えているが 50% 未満の場合、基本料金は 12.5% 未満削減されます。

この新しいメカニズムは、取引手数料を平準化し、ガス料金の急激な上昇を防ぐために設計されています。基本料金に関して覚えておくべき最も重要なことは、基本料金が 100% 自動で、Web から直接読み取られるということです。

優先料金の設定

最優先手数料（一般的にマイナーチップとも呼ばれる）は、マイナーがトランザクションをブロックに含めるインセンティブとしてマイナーに直接支払われる「オプション」の追加料金です。最優先手数料は技術的にはオプションですが、ほとんどのネットワーク参加者は現在、取引には通常少なくとも 2.0 GWEI のチップが必要であると見積もっています。ただし、特定のマイニングプールでは、代替の最小包含基準を設定することを選択する場合があります。

通常の混雑していないネットワーク条件下で送信される「典型的な」トランザクションの場合、最大優先料金は 2.0 GWEI に近づく必要があります。ただし、順序や次のブロックへの組み込みが重要なトランザクションや、ネットワークが非常に混雑しているトランザクションの場合、トランザクションを優先するために、より高い最大優先手数料が必要になる場合があります。

最高優先度手数料との微妙な違いは、それがマイナーに支払う意思のある最大のチップを表している点です。ただし、基本料金と最高優先料金の合計が最高料金（下記参照）を超える場合、最高優先料金は最高料金の上限を満たすように減額されます。つまり、実際のチップは最優先手数料よりも少なくなる必要があり、その場合、マイナーにとって取引の魅力が低下する可能性があります。

最大コストを計算する

基本手数料と最優先手数料の基本を紹介したところで、今度はやや直感に反する概念であるトップ手数料について見てみましょう。

最大手数料とは、取引を確認するためにガス単位あたりに支払うことができる絶対最大額です。ここで少し混乱が生じる可能性があります。ほとんどの場合、実際の取引手数料は事前に指定した最大手数料よりも低くなるためです。理由は次のとおりです。

取引の最小ガス価格は現在の基本料金です。
しかし、取引が完了する前に基本手数料が上昇した場合はどうなるでしょうか?そうすると、トランザクションが停止したり、失敗したり、中止されたりする可能性があります。
したがって、EIP-1559 に基づいて予測可能な取引決済を実現するためには、基本料金の予想される増加分である最大料金を設定することが現在のところベストプラクティスであると考えられています。しかし、どれくらい増加すべきでしょうか?理由は何ですか？
当社の EIP-1559 準拠のガス見積もりツールは現在、次の単純なヒューリスティックを使用して、任意の基本料金と最高優先度の料金の組み合わせに対して推奨される最大料金を計算します。最大料金 = (2 * 基本料金) + 最優先料金

最大手数料を計算するときに基本手数料を 2 倍にすると、トランザクションが 6 つの連続する 100% 完全なブロックに含まれ続けることが保証されます。いくつか例を挙げます。

実例：6つのブロックで、処理済みから未処理まで

トランザクションがブロック 1 で送信され、その時点の基本手数料が 100.0 GWEI であったと仮定します。最大優先手数料を 2.0 GWEI に設定することを選択したため、最大手数料は 2 * 100.0 + 2.0 として計算され、202.0 GWEI になります。

しかし、トランザクションを送信するとすぐに、注目度の高い NFT エアドロップが発生し、ネットワークの需要が急増します。突然、すべてのブロックが（上で説明した 50% ではなく）完全なブロックになるため、基本料金はブロックごとに最大 12.5% 増加します。

したがって：

ご覧のとおり、基本料金を 2 倍にするには、6 つの連続した 100% フルブロックが必要です (この例では、100.0 GWEI から 202.7 GWEI になります)。

実際には、このように最大手数料を設定することで、基本手数料が急激に上昇した場合に、取引が処理できないほど安くなるのを防ぐことができます。

しかし、根本的なコストがそれほど急速に増加していなかったらどうなるでしょうか?指定した最大料金よりも少ない金額が請求されます。上記の表をご参照ください。

覚えておいてください、トランザクションはブロック 1 中に送信され、基本料金は 100.0 GWEI でした。最も優先度の高い料金 2.0 GWEI を選択したので、最大料金の計算は 202.0 GWEI になります。
取引は間隔 4 で確認され、その時点での基本料金は 142.2 GWEI になります。
取引手数料は、確認時の基本手数料と最優先手数料の価格を加算して決定されます。したがって、この取引では 144.2 GWEI/ガスを支払うことになります。
これは、指定した最大料金より 57.6 GWEI/ガス少ない金額です。したがって、この 57.6 GWEI/ガスは実際には「保存」され、ウォレットに残ります。
最大手数料がウォレットから「差し引かれ」、その後部分的に「払い戻される」わけではないことに注意してください。代わりに、最大手数料は「最大承認手数料」のしきい値になります。
トランザクションがブロック 6 より前に確認されない場合、ブロック 7 では処理できなくなります。最大手数料 202.0 GWEI が新しい基本手数料 202.7 GWEI をわずかに下回るため、トランザクションは候補ではなくなります。

最後に、上記のシナリオで、最大手数料を計算するときに 2 倍の安全係数を含めず、代わりに最大手数料を最小の 102.0 GWEI に設定した場合、どうなるでしょうか。